作家紹介

位牌作家  五十嵐 誠  私は、位牌作家として活動をしています。そのきっかけは、実家の両親が、モダンなデザインの仏壇を購入した際に、「お位牌と合わないね」の一言でした。従来の伝統的な仏具はそのデザイン性から現代的なインテリアに馴染まないものとして捉えられているのではないかと感じています。
 一般的に「死」に関する事柄は日常から遠ざけられます。一方で、最愛の人を遠くて暗いお墓の中に納める事が出来ずに苦しんでいる方が居ます。そのような納骨されずにいる場合は、自宅で人目に触れないよう、隠すように保管される事が多いと聞きました。それは従来の骨壷の形状が死を想起させ、隠さざるを得ないためではないでしょうか。
 この骨壷「Art Grave」のデザインに携わる事になり、私はインテリア用品としてのデザイン性をハイレベルに備え、かつどなたでも日常の中で供養する気持ちを大切に出来る作品を目指しました。
 素材としてステンレスと黒檀の組み合わせが決定した瞬間、無機質素材(生命が止まった)と、有機質素材(生命が宿る木)との融合が、テーマとなりました。
 これは、故人に対し、生きている者が祈りを捧げる姿に重なります。その祈りの想いは限りなくシンプルです。そして、その想いを無機質と有機質の融合体へ投影することで「Art Grave」のデザインが映し出され、誕生しました。
五十嵐誠デザインの位牌とアートグレイブ 位牌作家  五十嵐 誠

1980年福島県猪苗代町生まれ
歯科技工士を経て、その技術を工芸的に応用し、位牌作家として現在活動中。
オーダーメイドでオブジェ等も制作。
趣味は登山、写真、金属研磨。